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玉木宏樹(代表) 作曲家・ヴァイオリニスト

MIDIによる純正律演奏のすすめ(第3回)/田向正一

前回解説したピタゴラス音律は,純正な完全五度で構成されていますが,長三度や短三度の音が純正でないため,ハーモニー(和声)向きとは言えません。今回は,ハーモニーに適した音律について話を進めていきます。

ハーモニーのための音律

和音を構成する音の周波数関係が単純な整数比であるとき,純正なハーモニーが得られます。このような考え方で作られた音律を純正律といいます。例えば,ハ長調の曲における主要三和音は,Cコード(C-E-G),Fコード(C-F-A),Gコード(D-G-B)であり,これらの和音を純正に演奏するには,ピタゴラス音律の “E,A,B”の音を若干低めに取る必要があります。これらの音は,前回示したピタゴラス音律の直線上に存在しないので,それぞれの和音が正三角形を成すように“E-,A-,B-”をプロットすると,下記のようになります。

純正なC,F,G

シントニック・コンマ〜ピタゴラス音律と純正律の架け橋〜

これらの若干低めに取った音のピタゴラス音律との周波数比を検証しましょう。Cコード(C-E-G)の場合,和音を構成する音の周波数関係が1:5/4:3/2であるとき,純正なハーモニーが得られます。ピタゴラス音律の“E”の音の“C”の音との周波数比は81/64なので“E-”の音はピタゴラス音律の“E”の音と比較して,81/80倍低いことが導き出されます。Fコード(C-F-A),Gコード(D-G-B)の場合も同様の結果となります。この僅かな比率をシントニック・コンマといいます。

純正律

上記の図を注意深く観察すると,左から右への水平直線上で隣り合っている音はは純正な完全五度,左下から右上への斜め直線上で隣り合っている音は純正な長三度,左上から右下への斜め直線上で隣り合っている音は純正な短三度の音程関係となっていることが分かります。この考えを進めると次のように表現することができ,囲まれた12音によって“C”の音を基準とした純正律が構成されます。これをCチューニング純正律とします。

Cチューニング

上記のCチューニング純正律には,ハ短調の曲における主要三和音,Cmコード(C-E♭-G),Fmコード(C-F-A♭),Gmコード(D-G-B♭)も含まれていることが分かります。また,これらの音を音階の順に並べると,以下のようになります。

音階 周波数比 平均律比
C 1 同じ
D♭ 16/15 高め
D 9/8 やや高め
E♭ 6/5 高め
E 5/4 低め
F 4/3 僅か低め
F♯ 45/32 やや高め
G 3/2 僅か高め
A♭ 8/5 高め
A 5/3 低め
B♭ 9/5 高め
B 15/8 低め

しかし,これで純正律の音階が完成したと安心してはいけません。例えば,ハ長調の曲におけるDmコード(D-F-A)などを演奏する場合,Cチューニング純正律では音が濁ってしまいます。このような問題の対策について,次回のコラムで解説します。


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