MIDIによる純正律演奏のすすめ(第1回)/田向正一
本コラムでは,MIDIを用いて純正律を始めとする自然音律で演奏する方法について,これから数回にわたり連載していきます。
MIDIの特徴
MIDIとは,Musical Instrument Digital
Interfaceの頭文字を取ったもので,電子楽器の演奏情報を送受信するための世界共通のインタフェース規格です。音楽をPCで聴くためのファイルフォーマットとしても幅広く使われています。
CDオーディオやDVDオーディオなどのようなPCMオーディオフォーマット,あるいは最近流行りのMP3やWMAなどのようなPCMオーディオを効率良く圧縮するためのフォーマットとは異なり,MIDIファイルは「指定した楽器を指定したタイミングで音を出す」といった音楽の演奏情報を格納するフォーマットなので,ファイルサイズが非常にコンパクトになっています。
また,アナログ/ディジタルによる一般的なレコーディング/マスタリングと比較して,MIDIでは音符の修正を始め曲の編集をワープロ感覚で簡単に行えることから,作曲や編曲の補助手段として活用されることもあります。
MIDIで音律を制御する
MIDIに含まれる演奏情報には,生楽器演奏者が奏でる様々な表現を電子楽器上で可能な限り再現できるように,楽譜よりきめ細かな指示が含まれています。
MIDIリセット直後の状態では,平均律で演奏されるようになっていますが,適切な設定を行うことにより,純正律を始めとする自然音律での演奏が可能です。これを実現する方法として,いくつかのバリエーションが存在します。これらの使い方について,実例を提示しながら解説していきます。
サンプルフレーズ
以下は,MIDIを用いて純正律を始めとする自然音律で演奏する方法を説明する目的で作ったフレーズです。
まだ音律の設定を行っていないので,当然ながら平均律で演奏されます。今後このMIDIファイルを題材に,いくつかの音律の設定方法を紹介します。お楽しみに。